Kyoto Komyoji Temple




4日間の京都滞在の最終日は長岡京市にある総本山光明寺。全国に光明寺は数あれど、ここは総本山。法然聖人が開いたそうです。しかし京都市内の寺社に比べ、あまり一般には有名でないお寺かも知れません。そんなお寺ですがここには個人的に深い思い出があるのです。今から約40年前に通った幼稚園からの近場の遠足場所としてこのお寺に何度か来たはずで、光明寺という名前が記憶に刻み込まれていたのです。

しかし、いざ境内を歩いてみるとまったく記憶になく、そもそも幼稚園児が大挙してやってきて遊んだりお弁当を食べたりできる場所もなく、もしかしたら単なる記憶違いだったのかもと自分を慰めています。光明寺という名前も、実家から近いからというだけで知っていたのかも知れません。

それでも。そういう誤解がきっかけだったとはいえ、ここに足を運んだのは正解でした。市中の有名な寺社にはない、侘びた雰囲気の素晴らしいお寺さんでした。



総門から表参道を望みます。幅が広く傾斜の緩い石畳の階段は、それだけでも非常に美しいのですが、頭上には時期が来ると真っ赤に染まるであろう葉が陽の光を覆って、木陰のトンネルになっています。この階段はより多くの人が登りやすくお参りしやすいようにと、江戸の末期に近在の信者の方たちの手によって造られたものとのことです。









山全体はまだまだ青々としていましたが、一部に紅く染まった枝も見受けられました。御影堂の付近はほんの少しだけとはいえ高い場所にあるために、西山から吹き下ろす風のせいで紅葉が早いのかも知れません。

と、見ているうちに辺り一面を黒い雲が覆い、柔らかく雨が降ってきました。



立派な鬼瓦が縦に並んでいるのに気付き、大きくクローズアップして。雨の降りが強まってきて山の景色も霞んできます。竹が混じっているのが西山らしいです。



35mmでもこの距離でも。F1.4のボケ量はフルサイズならではでしょう。シャープな部分と柔らかなボケが綺麗にグラデーションで交じり合う美しい写りになりました。後ろは勅使門。小ぶりながら堂々とした構えに味があります。この時だけ一瞬薄日が差し、この後雨は上がるどころが本降りになっていきました。



薬医門。雨の降りは増してきているものの、ここは木々が遮ってくれるためにそれほど濡れません。しかし雨の日特有のしっとりした空気の色合いになってきました。






薬医門を表側から。この参道も秋が深まると燃えるように紅く染まったもみじのトンネルになるようです。残念ながら今回行った11月上旬ではこの参道は紅くなる気配すらなかったのですが、おかげでこのように人の少ない中をゆったりと巡れたのかも知れません。


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Kyoto Matsuo Taisha Shrine



子供の七五三は松尾大社で行いました。嵐山のすぐそばに位置する松尾大社はお酒の神様としても有名な京都でも古い神社です。室町時代に造られたという本殿の背後には鬱蒼とした木々が迫り、年月を刻み込んだ威厳があります。

11月初旬の土曜日、さぞかし七五三の参拝でごったがえしているかと思いきや、意外と空いている様子。そこかしこにおめかしした七五三衣装の子どもたちがお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんといて写真など撮ったりしているのですが、混んでいるというには程遠い状況で、こちらとしては非常に嬉しい空き具合でした。

午前中の松尾大社は木々の色、それを透かす陽の色も柔らかく、この古く美しい日本の木造建築物を写すにはいいシチュエーションであったかと思います。






このような樽酒の奉納は大きな神社ならどこででも見られる光景ですが、ここはやはりお酒の神様。神社の規模に比しては多くの奉納があるように見られます。酒樽の置かれた建物の屋根が立派な瓦葺きなのは、元々能舞台であったものを移築したものだからだそうです。






杉玉がぶら下げてあるのはやはりお酒の神様ならではでしょうか。ここ自身で醸造しているわけではないので、どこかの酒蔵から奉納されたものなのかも知れません。




楼門。撮影時は気付いていなかったのですが、左右の随神を囲う金網にいくつかの杓子が結び付けられているのは、祈願杓子と呼ばれるものだそうです。






お参りの後は楼門前の茶店でお団子を食べて一服。その間にも入れ替わりに続々と七五三参りの家族がやってきては門をくぐって行きます。


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PW Kyoto Higashiyama at Night





せっかく京都に来ているのだからと、昼間とはまた違う風景、雰囲気を楽しむため、今度は夜に東山を歩いてみました。コースのスタート地点は前回と同じく八坂の塔への入り口。ここから二寧坂、高台寺、円山公園、知恩院、青蓮院を通って三条までそぞろ歩きます。使うレンズはまたしてもSIGMA 35mm F1.4 DG HSMのみ。夜間なので積極的に開放F1.4で攻めてみましたが、ピントの芯は本当にこれがF1.4かと思わせるほどの緻密感があり、5D3のノイズレスな絵と相まって全く不満のない写真が撮れたと満足していますがいかがでしょうか。


さて、タクシーを降りて歩き始めたのは夜の7時半すぎ。東大路から登り始めると、八坂の塔はこのように照明はこちらとは反対の高台寺側から当てられます。ライトアップされた姿を撮るとすればマイノリティなポジションなのでしょうが、これはこれでなかなかに良い見映えです。一方で驚いたのは、歩いている観光客がほとんどいないこと。この時間だと店が一つも開いていないことは予想していましたが、こんないい雰囲気の場所になぜ来ないのか実に不思議でした。



定番とも言えるアングル。何度来ようとも、やはりここに来たら一枚は撮っておかないと気が済みません。高台寺側からのライトアップはここからの見映えを最高にするためのものであると納得できます。上でも書いたように、人通りはほとんどなく、ゆったりと余裕で撮影することができましたが、時折地元の人であろう車が結構なスピードで通りすぎるので、少し注意が必要です。






二寧坂を下ります。ここもすべての店は閉まっていて、歩く人はほとんどいませんが、照明のお陰で昼間とはまた異なる風情のある景色が見られます。






高台寺の入口がある通りまで来ました。この時期、高台寺は庭園がライトアップされた夜間拝観が実施されていることもあり、そこそこに人通りがあります。そのロケーションのよさのせいでもあるのでしょうか、一軒だけ開いているお店があり、ここは観光客で賑わっていました。店を開けば客が来ると分かっていても、先ほどの二寧坂のように早々に店を閉めてしまうのは、京都の人の気質にもよるのでしょうか。



ふと路地を覗くと、ここもまた京都らしい風情に溢れています。このショットを撮った際に右の店の軒先から猫が出てきましたが、残念ながらこちらには寄ってきてくれず…。



高台寺。禅宗の寺らしいお堂の形です。ちょうど夜間拝観が実施されていたのですが、ここの庭園はそれなりに広く、じっくり見ているとこの散歩のゴールにたどり着くには遅くなりすぎてしまいそうだったため、今回はこの正面を見るだけに留めました。

京都をゆったりゆっくり見るには、別の用事でやってきた合間の時間では足りなさすぎます。






円山公園を北側に抜けたところで姿を現す知恩院の三門。圧倒されるほどの大きさが目に焼き付きます。ここも夜間拝観が実施されていて、門の上部には多くの人の姿が見られました。

この後は青蓮院門跡の前を通って三条通に出、地下鉄東西線の東山駅がゴールでした。スタートから約2kmほどを50分ほどをかけてゆったり歩いてきました。天気もよく、暑くもなく寒くもない、心地の良い夜間散歩でした。



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PW Kyoto Higashiyama





今回は久しぶりにやってきました実家の京都。6月頃に子供の七五三のお参りを京都でやろうということに決めて着々と準備を進めてきた家族的に大きなイベントの初日です。
朝に新幹線で東京を出発し、お昼ちょうどに京都着。家族が泊まる河原町御池のホテルオークラに荷物を預けた後は、市中をぶらりぶらり。まずは先斗町を下がって四条大橋まで。



四条大橋から鴨川上流を望みます。夏に来た台風での鴨川の氾濫など嘘のように穏やかな川面です。四条と三条の橋近くの河川敷には大勢の修学旅行生。集合場所になっているのでしょうか。 11月に入っているとは言っても、この時期の京都はまだまだ暖かく、微妙に色づき始めている葉がないでもないですが、遠くに霞む北山はまだ青々としています。



安井金比羅宮。悪縁を切り、良縁を結ぶ神様のいまします神社で、建物自体の古さもあって風情がある場所なのですが、その御利益のために奉納された絵馬に書かれた詞はちょっと怖いものが多いです。 家族でとことこと歩き続け、ここから近い六波羅蜜寺まで歩いて有名な空也と平清盛の像を見たのですが、当然のことながら撮影は禁止でした。残念。






六波羅蜜寺を出た後は八坂通を歩いて八坂の塔へと向かいます。こうして東大路の西側から八坂の塔を望むと、こちらは六波羅の一角という京都市民の生活圏。多数の電柱と電線が眺めに絡みます。人の生活と観光名所が混ざり合ってそこにある姿は実に京都らしい風景です。



一方で、東大路を渡ると同じように人の生活する場所ではあるものの、こちらは電線の類はなく、見上げれば邪魔されるものなく塔のそびえる姿を間近に見られます。



東大路から登り始めると、八坂の塔のすぐ手前にふっと現れる金剛寺というらしい小さなお寺。通称、八坂庚申堂。境内にはお猿を模した「くくり猿」と言われる小さな色とりどりの人形がお堂に括りつけられています。






この日はあまり時間がなく、清水へは行けないないため、二寧坂を下っていきます。すでに日が低く、通りは夕暮れの光が差さないのですが、それでも通りの色と早めに点いた明かりのお陰で雰囲気が出てくれています。






二寧坂を高台寺側に抜けたところでようやく空が赤く染まり始めました。残念ながらこの日は時間いっぱいでこれまで。何度来ても期待を裏切られない京都東山の一角でした。